甘酒はどれも同じと思ってない? 酒粕と米麹の2種類を見分ける方法 | ニコニコニュース



                       

初詣に出かけると、甘酒がふるまわれることがある。その甘酒には、酒粕と米麹の2種類があるのをご存知だろうか。

近年、甘酒は日常的に楽しまれるようになった。酒粕のほうは甘みを追加しなければならないため、砂糖を入れる必要があり、ダイエットには不向きなどといわれるが、かつては甘酒といえば酒粕のほうだった。米麹は、麹ブームが引っ張ってきたものである。

そもそも、この酒粕と米麹にはどのような違いがあるのだろうか。それぞれの甘酒の見分け方や健康効果を、一般社団法人日本糀文化協会の代表理事 大瀬由生子さんに聞いてみた。

初詣で出会う甘酒はどっちの甘酒?

毎年、初詣客に対して甘酒をふるまう神社がある。例えば、東京では靖国神社が有名だ。靖國神社は来年も甘酒をふるまうことが決まっており、2017年1月4日まではふるまわれる予定だという。あいにく、記事執筆時点ではどちらの甘酒かは判明しなかった。他の神社では酒粕と米麹、どちらの甘酒がふるまわれるのだろうか。

神田明神に訪れるなら、ぜひ甘酒がおいしい近隣の老舗「天野屋」や「三河屋綾部商店」に訪れてみよう。どちらも「米麹」の甘酒が楽しめるようだ。

また、熊本の阿蘇神社では、昨年末、一週間かけて3万人分もの「米麹」の甘酒の仕込みを行っていることがニュースで紹介された。今年は大地震の影響で社殿復旧が行われているが、正月の参拝は拝殿跡地で予定していることや、2016年12月18日からは甘酒の仕込みがはじまることも公式Facebookページで告知されている。今年も「米麹」の甘酒がふるまわれるようだ。

2種類の甘酒の見分け方

ところで、この正月、どこかで甘酒が出されたときに、酒粕か米麹かを見分ける方法はあるのだろうか。日本糀文化協会の代表理事である大瀬由生子さんに聞いてみた。

「酒粕の甘酒は、お湯に酒粕と砂糖を加えて作るもので、米麹の甘酒は、米と麹を発酵させて作るものです。この2つの甘酒は、一見、同じように見えますが、香りの違いで見分けがつくでしょう」

果たしてどのような香りの違いがあるのだろうか。

「米麹で作った甘酒は、酒とはいうもののアルコール分を含まないため、子供でも飲むことができます。一方、酒粕にはアルコールが可食部100g当たり8.2g含まれています。酒粕を使った甘酒は、アルコールの影響もあり、多くの方は“独特の香りや味がする”とおっしゃいます。
酒粕の甘酒は、火にかけて水で酒粕をとかしている時点でアルコールは飛びますが、アルコール臭は残ります。香りが強いな、お酒の香りがするなと感じたら、酒粕の甘酒の可能性があるでしょう」

大瀬さんによれば、微妙な違いだが、甘みでも見分けることができるという。

「自分で酒粕と米麹の甘酒の両方を作ってみると、その甘みの違いはよく分かります。米麹の甘酒は、砂糖の甘みではなく、でんぷんが糖になった甘みなので、やわらかく、優しい甘みです。お米のご飯をよく噛んでいると甘みが出てきますよね。それと同じ甘さです。
酒粕の甘酒の甘さは加える砂糖の量によって変わるので、一概には言えませんが、砂糖の甘さなので、しっかりとした甘みがあります」

このでんぷんによる優しい甘みと、砂糖の甘み、ぜひ味わい分けてみよう。

酒粕VS.米麹 どっちがいいの?

そもそも、この酒粕と甘酒はどちらが健康や美容にいいのだろうか。効果は個人差があるので一概にはいえないが、その栄養価や健康効果の違いのうち、特徴的なものを教えてもらった。

●酒粕の甘酒
酒粕とは、日本酒を作る工程で生じる、酒の搾り粕のこと。これを湯で溶いて砂糖を入れれば甘酒ができあがる。

【メリット】
・米麹の甘酒と比べて、食物繊維、ビタミン、たんぱく質の量に優れている。
・でんぷんの分解を遅くする物質による肥満防止。
・糖の吸収を抑える物質などによる糖尿病予防。
・肝機能を強化。
・ガン細胞だけを殺すナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きを活性させる物質によるガン抑制。
・コレステロールの低下。
・高血圧、脳梗塞、骨粗しょう症予防。
・冷え性改善。
・アルブチンによる美白効果。

【デメリット】
・アルコールを含むため子どもは飲用できないことも。
・砂糖を大量に入れないと甘くならないためカロリーが高い。
・独特の香りや味がする。

●米麹の甘酒
米麹とは、米に糀菌をつけて繁殖させたもの。この米麹に水を合わせ、55~60℃で4時間~6時間置いてできあがり。(外気温等によって時間は異なる。)

【メリット】
・砂糖を加えなくても甘いのでヘルシー。その甘さは想像以上。
・酒とは言うもののアルコール分を含まないため、子供でも飲むことができる。
・必須アミノ酸が全種類含まれている。
・ビタミンB群が豊富。
・腸内を活性化するオリゴ糖が含まれている。
・ブドウ糖による脳の活性化、疲労回復効果。
・コウジ酸による肌の美白効果。
・腹持ちが良いためダイエット効果。
・代謝にかかわる酵素が100種類以上。新陳代謝がよくなる。

【デメリット】
・ビタミンAとビタミンCが不足している。
(ビタミンAやCが含まれるフルーツなどを混ぜると栄養価が高まる)

こうして見てみると、2種類の甘酒は、栄養価や効果の面ではいい勝負である。ただ、香りや味、アルコールや砂糖の有無などの違いは大きいとみられる。好みが分かれるところだろう。

大瀬さんはこの2種類の違いについて、次のように語る。

「好みはありますが、どちらの甘酒も非常に栄養価が高い食品です。発酵食品は、できるだけ毎日続けて摂取することで、腸内の善玉菌を増やしてくれます。お正月だけではなく、毎日コンスタントに飲むのがおすすめです」

来年の正月、初詣や帰省先などで甘酒を出される機会があった際には、ぜひ酒粕か米麹の甘酒なのか、飲み分けてみてはいかがだろうか。

また、最近では、コンビニやスーパーなどでも簡単に手に入れられるようになった。この機会に、甘酒生活をはじめてみてもいいだろう。



(出典 news.nicovideo.jp)