なぜナポリタンに粉チーズはこれほどマッチするのか? | ニコニコニュース



                        

ナポリタンといえば、粉チーズ。粉チーズといえばナポリタンだ。中には、山ほどかけて食べる人もいる。一方で、かけるのを好まない人もいる。しかし「ナポリタンには粉チーズ」というのは定番で、往年の組み合わせといっても過言ではない。

なぜナポリタンには、粉チーズがマッチするのか。粉チーズをかける効果はどのようなものなのか。ナポリタン専門店、ナポリタンマニア、イタリア料理研究家の3者に聞いて検証してみた。

まずはあのナポリタン専門店に聞いてみる
ナポリタンが食べたくなったら、まず思い出すのがナポリタン専門店「スパゲッティーのパンチョ」である。パンチョでは、各店舗で、テーブルに粉チーズがタッパーで設置されており、無料でかけ放題になっているという。パンチョの運営元である株式会社B級グルメ研究所の野尻圭介さんによれば、「原価高なので大変ですが、お客様から支持されているのも事実」とこぼす。

そんな野尻さんに、ナポリタンの粉チーズにはどのような効果があるのかを聞いてみた。

「当店では、大盛りがコンセプトですので、食べている間に味の変化をつけるのに粉チーズは必須です。また、かければかけるほど、カロリーが増える効果はあるでしょう。ただ、美味いものはカロリーが高いものです。
また、粉チーズはお子様やチーズ好きな方に人気です。すごい方は、麺が見えないくらいかけている方もいます。
ちなみに、粉チーズはできれば最初からドバッとかけるのではなく、ナポリタン自体の味をしっかり味わってから、少しずつかけるのがおすすめです。うちはソースからすべて手作りなので、その美味しさもぜひ味わっていただきたいですね」

粉チーズによって、確かにカロリーは増えるものの、美味しさは増す。また、粉チーズには、「味に変化をつける」という重要な役割があることが分かった。


次はナポリタンが好きすぎるあの人に聞いてみた

ナポリタンにかける粉チーズには、他にどのような効果があるのだろうか。今度は、ナポリタンを食べる側の意見を聞くために、ナポリタンをこよなく愛するイートナポさんに当たってみた。イートナポさんは、日本全国のナポリタンを2000食以上、食べ歩いたという屈指のナポリタン好きである。果たして、ナポリタンに粉チーズをかけることは好みなのだろうか?

「ナポリタンと粉チーズは切っても切り離せない存在なので、粉チーズをかけるのはもちろん大好きです。しかし、『かけるorかけない』はナポリタンの炒め具合によって選んでいます。ケチャップがカラカラになるほどの炒めが強い場合はチーズも溶けないので、あまりおすすめできませんが、ケチャップやソースの水分が残っている場合には最高のマリアージュになります」

普段からナポリタン道を極めるだけあって、さすがに分析が深い。ケチャップと粉チーズにマリアージュがあるとは驚きだ。このマリアージュの魅力について語るイートナポさんの鼻息はますます荒くなっていく。

「とろけたチーズとトマトケチャップの相性に間違いはありません!トマトもチーズもどちらも単体で食べてもおいしいものですが、その2つが交わったとなれば、おいしいに決まっています。ピザも同じようにトマトとチーズのコラボが定番。間違いなしの組み合わせです!
また、チーズもトマトも“グルタミン酸”を多く含む食材なので、うま味の相乗効果でナポリタンのおいしさも倍増です!」

ナポリタンの効果の2つ目は、「トマトとチーズの奇跡の味コラボ」といえそうだ。
そしてイートナポさんは、ナポリタンには、他でもない、「粉チーズ」でなくてはならないという。

「ナポリタンに一番最適なのは粉チーズだと思います。はじめはバラバラだったものが、とろけることで、麺の細部にまで絡むことができ、ナポリタンの隅々までとろけたチーズが入り込むことができます」

さすがナポリタンを2000食以上も味わってきただけある。「ナポリタンに粉チーズ」の組み合わせが不動の組み合わせであることの意味がようやく分かった気がする。


イタリア料理の観点からはどうなのか?
ここで少し視点を変えて、「ナポリタン」を見てみよう。ナポリタンは日本発祥とはいえ、料理としてはパスタに分類される。そこでイタリア料理の観点から、パスタに粉チーズをかけることの意味と効果を探るべく、イタリア料理研究家の星野佳代さんに当たってみた。

そもそもパスタに粉チーズをかけること自体、イタリア料理研究家としては推奨しているのだろうか。

「パスタ料理の種類にもよりますが、ナポリタンなどのトマトソース系にはお好みでチーズをかけることをおすすめしています。なぜなら、チーズを加えることにより旨みやコクが増し、味覚として美味しく感じるからです。
また、チーズには旨み成分の“グルタミン酸”が豊富に含まれているため、全体の味のバランスが整い、パスタを美味しくいただける効果があります」

チーズは、どうやらパスタ全体の旨みやコクを高め、さらに味バランスを整える効果もあるようだ。

しかし、星野さん自身は、よくあるアメリカ産の粉チーズではなく、イタリア産チーズに限ってかけているのだという。

「イタリアの家庭では、イタリア産のパルミジャーノやペコリーノチーズなどをパスタにかける習慣があります。またクリームソースパスタではソースを作る段階でチーズを加え、パスタソース自体にチーズの旨みをしっかりとつけていただくことも少なくありません。日本で市販されている粉チーズはアメリカ産のものが主なので、イタリアで使うケースはほとんどないのが事実です」

日本の「ナポリタン×粉チーズ」文化は、イタリア料理の「パスタにチーズ」という文化とは少し異なるようだ。

まとめ

最後に、ナポリタンはなぜこれほど粉チーズがマッチするのかの理由をまとめてみる。

・味に変化が生まれるため、最後までナポリタンを飽きずに食べられる。
・トマトとチーズの組み合わせは奇跡のマリアージュ。
・粉状のチーズが麺の隅々にまで行き渡り、溶けた頃には麺に程よく絡みつく。
・チーズを加えることにより、旨みやコクが増し、よりおいしく感じる。
・チーズのグルタミン酸がナポリタン全体の味を引き立て、バランスを整える。

日本独特といえる「ナポリタン×粉チーズ」には、このようなさまざまな深い意味があることが分かった。長く愛されるのも納得だ。しかし、不思議と想像しただけで、なぜか食べたくなってくる。これも奇跡のコラボである一つの証拠かもしれない。


(出典 news.nicovideo.jp)