いま注目のスーパーフード「スーパー大麦」。腸内環境を整え、便秘や肌荒れ、睡眠などの不調改善だけではなく、ダイエットにも有効な、まさにスーパー食材です。

最大の特徴は、「フルクタン」「β-グルカン」「レジスタントスターチ」という腸内で善玉菌のエサとなる3つの「発酵性食物繊維」を豊富に含み、腸の奥まで食物繊維が届くことです。今回はスーパー大麦に含まれる栄養素や効果についてまとめました。

目次

  • スーパー大麦とは?
  • スーパー大麦に含まれる食物繊維の役割
  • スーパー大麦を食べることで期待できる効果
  • 効率的に食物繊維を摂れるスーパー大麦

 

スーパー大麦とは?

大麦/スーパー大麦の「発酵性食物繊維」の含有量をグラフ化した図表

もともと、大麦は穀物のなかでも水溶性食物繊維・不溶性食物繊維・難消化性デキストリンがバランス良く含まれており、食後の血糖値上昇抑制、正常な腸機能の維持、コレステロール値の低下などの健康機能が認められていました。
 
なかでもスーパー大麦は、食物繊維量が通常の大麦の2倍、善玉菌のエサとなる発酵性食物繊維を3種類と豊富に含む、食物繊維を質、量ともに兼ね備えたスーパーフードです。なお、スーパー大麦とは、オーストラリアで開発された「バーリーマックス」という品種の大麦のことをさします。
 
「腸は第二の脳」ともいわれており、食物繊維を摂って腸内環境を整えることは、便秘や肌荒れ、不眠などさまざまな不調の対策だけでなく、ダイエットにも効果的です。
 
スーパー大麦は、白米や玄米などと比べて低糖質で食物繊維を多く含むヘルシーな食材で、スーパーマーケットやECサイトで購入することができます。

スーパー大麦に含まれる食物繊維の役割

炭水化物

スーパー大麦は一般の穀物と同様に「炭水化物」に分類されます。炭水化物は、糖質と食物繊維で構成されています。食物繊維は、大きく非デンプン性・デンプン性・その他の3種類に分けられます。さらに、非デンプン性食物繊維は、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類に分類されます。「不溶性食物繊維」は、腸でふくらんで腸を刺激し、ぜん動運動を促して便通をよくする役割があります。
 
「水溶性食物繊維」や「デンプン性食物繊維」「その他の食物繊維」は、善玉菌のエサとなって腸内で発酵され、「短鎖脂肪酸」を作り出し、腸内環境を整える役割を持ちます。そのため、「発酵性食物繊維」と呼ばれています。
 
人々の健康にさまざまな良い働きを及ぼす短鎖脂肪酸は、腸内の悪玉菌の繁殖を抑え、善玉菌が住みやすい環境を作るだけでなく、大腸のバリア機能を高める、生活習慣病を予防する、免疫力を向上させるなどさまざまな効果があると言われています。

スーパー大麦に含まれる発酵性食物繊維とは

スーパー大麦には、「フルクタン」「β-グルカン」、“第3の食物繊維”といわれている難消化性デンプン「レジスタントスターチ」という、3種類の発酵性食物繊維が豊富に含まれています。特徴として、善玉菌のエサとなることで腸内環境を改善する働きを持っています。これら3種類の食物繊維の違いは、その発酵タイミング(善玉菌のエサとなる腸内の場所)にあります

炭水化物

フルクタン

らっきょうやごぼうなどに含まれる水溶性食物繊維の一種で、大腸の入り口近くで発酵し、善玉菌のエサとなります。スーパー大麦のほのかな甘みはフルクタンによるものです。

β-グルカン

水溶性食物繊維の一種。腸の中間あたりで発酵し、善玉菌のエサとなります。高粘性のため、小腸で糖や脂質の吸収を遅らせる働きがあり、血糖値の上昇を抑えるのに効果を発揮します。また、血中コレステロールを正常化する働きも認められています。

レジスタントスターチ

第3の食物繊維とも呼ばれる、デンプン性の食物繊維です。消化されにくく発酵スピードが遅いため、大腸の奥で発酵し、栄養が届きづらい大腸の奥に棲む腸内細菌にエサを届けることができます。レジスタントスターチは野菜などにも含まれていますが、その量はごく微量です。また、大麦にも含まれていますが、スーパー大麦には通常の大麦の4倍ものレジスタントスターチが含まれています。

まとめ

スーパー大麦にはこれらの発酵タイミングが異なる3種類の食物繊維がバランスよくたっぷり含まれているため、腸のすみずみまで善玉菌にエサを届け、短鎖脂肪酸を作ることができます。これが、腸内環境改善に効果的といわれる理由です。

スーパー大麦を食べることで期待できる効果

スーパー大麦を食べることで期待できる効果

ここまで紹介してきたように、スーパー大麦は腸の奥まで届き、善玉菌のエサとなる発酵性食物繊維を豊富に含むため、次のような効果が期待できます。

ダイエット

腸内環境はダイエットに大きく関わっています。実は太りやすい人とそうでない人では、腸内環境が異なります。
 
太りやすい人の腸内には、エネルギーを吸収し肥満を増長させる悪玉菌が多く、太りにくい人の腸内には短鎖脂肪酸を出して肥満を防ぐ善玉菌が多いといいます。短鎖脂肪酸には、脂肪の蓄積の抑制や代謝を上げる効果、満腹感を感じさせて食欲を抑制する効果など、ダイエットに有効なさまざまな働きがあります。
 
スーパー大麦を食べて腸内環境を整え、善玉菌を増やすことでやせやすい体質を作りましょう。

便秘の予防

便秘気味の人にスーパー大麦を1日12g以上食べ続けてもらったところ、2週間程度で排便回数や排便量が改善したという実験結果があります。スーパー大麦は便秘で悩んでいる人の救世主になるかもしれません。

善玉菌が活発になり、腸内環境が改善

スーパー大麦に含まれる3種類の食物繊維は、腸の入り口・中間・奥でそれぞれ善玉菌のエサとなり発酵して、短鎖脂肪酸を作り出します。この短鎖脂肪酸により、腸内は善玉菌が活動しやすい弱酸性に保たれるので、善玉菌がより元気になり、腸内環境が改善されていきます。

便のかさ増し・便のすべりが改善し、排便力が高まる

スーパー大麦には水溶性食物繊維などの発酵性食物繊維だけでなく、不溶性食物繊維も含まれています。便の固形物となる不溶性食物繊維は、腸で水分を吸収してふくらみ、便のかさを増してくれるうえ、腸内にたまっている不要物をからめ取る役割があります。また、腸を刺激してぜん動運動を促すので、スムーズな排便が実現しやすくなります。
 
また、水溶性食物繊維には、便を柔らかくし、排出をスムーズにしてくれる効果があります。

肌荒れの改善

便秘傾向かつ肌荒れ傾向のある20~40代の女性30名を対象に、スーパー大麦を1日当たり14.7g食べ続けてもらったところ、ニキビ・吹き出物・肌の潤い・ツヤ・ハリ・弾力・シミ・シワ・キメ・化粧のり、いずれにおいても、改善傾向が認められた、という実験結果があります。また同じ実験で、皮膚表面の水分量を測定したところ、水分量にも増加傾向が見られたそうです。スーパー大麦は美容効果も高い食べ物と言えそうです。

血糖値の上昇抑制

善玉菌が作り出す短鎖脂肪酸は、「GLP-1」というホルモンの分泌をうながし、インスリンの分泌を増やすことで、血糖値の上昇を抑制します。スーパー大麦に含まれる3種類の発酵性食物繊維は腸内での発酵タイミングの違いから時間差で働くため、長時間にわたって善玉菌にエサを提供し、短鎖脂肪酸を作り出すことができます。そのため、血糖値抑制効果も長く持続させることができるのです。

睡眠の改善

腸内環境は睡眠にも影響を及ぼします。善玉菌によって作り出される短鎖脂肪酸には、セロトニンの分泌を促す効果があります。睡眠に悩みのある女性にスーパー大麦を1日12g食べるようにしてもらったところ、4週間程度で睡眠の質が向上したという実験結果があるほどです。スーパー大麦を食べた人の腸内では、睡眠を導くホルモン「セロトニン」の分泌に関わる細菌が増加していました。

まとめ:効率的に食物繊維を摂れるスーパー大麦

まとめ:効率的に食物繊維を摂れるスーパー大麦

これまで述べてきたように、スーパー大麦には「フルクタン」「β-グルカン」「レジスタントスターチ」という発酵タイミングの異なる3種類の発酵性食物繊維が含まれています。腸の入り口でフルクタンが、腸の中間でβ-グルカンが、そして腸の奥でレジスタントスターチがそれぞれ発酵し、腸の入り口から、腸内細菌が多くすんでいる奥までくまなく善玉菌にエサを届けます。これにより、長時間にわたって腸内環境を整え、便秘や肌荒れ、睡眠改善やダイエットに一役買ってくれているのです。
 
これらの発酵性食物繊維に加え、不溶性食物繊維までバランスよく含んでいるスーパー大麦は、効率的に食物繊維を摂取できるスーパーフードなのです。

毎日かんたん!スーパー大麦はこうやって取り入れよう

スーパー大麦は、グラノーラやショートバーなどの加工された形や、茹でた状態などで販売されており、スーパーマーケットなどで手に入れることができます。また、茹でたり加工したりしても、その効果にほとんど変わりはありません。この手に入れやすさや加工のしやすさは毎日続けやすい理由のひとつであり、幅広い食べ方ができるのもポイントです。

【食べ方1】グラノーラ×ヨーグルト

ゆっくりご飯を食べる時間がない朝は、市販のスーパー大麦入りグラノーラがおすすめです。ヨーグルトにかけて食べればお手軽に食物繊維を摂れると同時に、乳酸菌もとることができて一挙両得です。乳酸菌は水溶性食物繊維をエサにして増えるので、スーパー大麦との相性はバツグンです。

【食べ方2】スープやサラダにトッピング

炭水化物

茹でた状態か蒸した状態で市販されているスーパー大麦を、スープやサラダなどのおかずにトッピングすると、スーパー大麦のプチプチした食感が加わります。サラダだけでは発酵性食物繊維は十分に摂取できません。スーパー大麦のトッピングで発酵性食物繊維を補いましょう。

 




(出典 news.nicovideo.jp)