販売初日に品切れ店が続出した「特撰すきやき重」(税込860円)。店で食べればみそ汁、玉子、お新香もセットで提供(テイクアウト版につくのは半熟玉子のみ)
販売初日に品切れ店が続出した「特撰すきやき重」(税込860円)。店で食べればみそ汁、玉子、お新香もセットで提供(テイクアウト版につくのは半熟玉子のみ)

牛丼チェーン大手の吉野家8月14日に販売開始した「特撰すきやき重」(税込860円)が大人気だ。初日から売り切れ店が続出し、公式HPに「多くの店舗で品切れが発生しご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます」という謝罪が掲載されたほど。

そして、翌日からはその日に準備している食材がなくなり次第終了すると発表された(販売期間は決まっておらず、全国で約50万食を売り切った時点で終了する予定)。

特撰すきやき重は、サーロインの生肉120gを1.8mmの厚さにスライスし、注文が入ってからタレで煮るという丁寧な調理法を取っている。また、店内で食べれば、すきやき重にみそ汁、玉子、お新香がセットになって提供される(持ち帰りの場合は、すきやき重と半熟玉子のみ)。

実際にすきやき重を食べてみると、「牛丼」の肉に比べてひと切れの大きさと赤身の多さに驚く。牛丼だと脂身の部分で肉が噛み切れない場合があるが、すきやき重はそれがない。高級な肉というのを実感できる。

フードジャーナリストのはんつ遠藤氏も「吉野家の特撰すきやき重は、とてもおトクです」という。

アメリカ産ですが、高級部位のサーロインを使い、120gとけっこうなボリューム感がある。普通にすき焼きを食べに行けば、2000円前後はするでしょう。それが860円で食べられる。しかもみそ汁、玉子、お新香付きです。吉野家は、羽田空港国際旅客ターミナル店で和牛を使った『牛重』を出していますが、こちらは1500円(税込)。その半分ちょっとの値段なので、おトク以外の何ものでもありません」

なぜ吉野家はここまでおトクなメニューを出してきたのか? はんつ氏が続ける。

吉野家は今年創業120年です。そこで『牛丼チェーン界のリーダーでなければいけない』という思いがあり、話題性を重視して存在感アピールするという戦略を取っているんです。5月に発売された『ライザップサラダ』もそう。糖質制限ブームで糖質の少ない商品を出すのは簡単ですが、ライザップコラボすることで話題にしてもらうという戦略です。

実は、今回の特撰すきやき重の品切れ続出も、僕はわざとではないかとみています。普通に考えて、初日にいきなり売り切れになるはずがないので、おそらく話題づくりでしょう」

そう考えると、3月に発売された牛丼「超特盛」の牛肉が大盛の2倍というのも「そこまでやるか?」的な話題づくりのように思えてくる。

「今回の特撰すきやき重のポイントは、"おトク感+A級グルメ感"です。最近はミシュランガイドの影響や東京五輪に向かって景気が良くなるという予測から、高級食が注目されています。そのため、高級部位のサーロインを使った特撰すきやき重を860円という価格で販売したのだと思います。最近の吉野家は時代の流れに敏感です」

3月、5月、8月と話題作を投入してきた吉野家。秋に投入されるであろう次の新メニューも楽しみだ。

販売初日に品切れ店が続出した「特撰すきやき重」(税込860円)。店で食べればみそ汁、玉子、お新香もセットで提供(テイクアウト版につくのは半熟玉子のみ)


(出典 news.nicovideo.jp)