「発酵あんこには砂糖が含まれないので、食べてもほとんど血糖値が上がりません。そのうえ、食物繊維が豊富で腸内環境を整える作用があり、美肌効果も期待できます。鉄分や亜鉛も多く含む、女性にはうれしい食品なんです」

こう話すのは、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さんだ。

一般的にあんこは砂糖を加えて甘味をつけているが、発酵あんこは、あずきに含まれるデンプンを麹の酵素により糖分に変え、自然な甘味を引き出している。そのため低糖質で、食後に血糖値が急上昇する心配がないのが特徴だ。

「発酵あんこは、一般のあんこよりポリフェノールも豊富です。後者は、あずきを煮込む過程で煮汁を捨てますが、溶け出したポリフェノールも同様に捨ててしまうため、その量は半分ほどに減ってしまいます。いっぽう、発酵あんこ炊飯器で炊いて汁ごと発酵させるので、あんこになってもポリフェノールが丸ごと残るのです。抗酸化物質であるポリフェノールには、活性酸素で傷ついた細胞を修復して、シミやシワなどの老化を防いだり、がん細胞の増加を抑える効果が期待できます」

さらに、赤石さんが注目するのはタンパク質あずきは大豆と同じようにタンパク質を非常に多く含んでいるという。

「発酵あんこ100グラム食べれば、1回の食事で摂取したいタンパク質の量(20グラム)をクリアできます。食卓に肉や魚が足りないときに、“おかず”として食べるのもありですね。あずきにはサポニンというコレステロールを下げる成分も含まれます。脂肪の吸収を抑えてくれるので、脂っこい食事のお供にするといいでしょう。その場合、食事の最初に食べるのがベストです」

また、あずきの皮に含まれる食物繊維は腸内で善玉菌のエサになり、腸内環境の改善に大きな力を発揮する。お通じがよくなるため、冒頭で触れたように、美肌効果も期待できる。

ビタミンミネラルも豊富で、なかでもうれしいのは女性が不足しやすい鉄分や亜鉛が豊富なこと。したがって、貧血対策としても有効だ。

「大豆イソフラボンも多く含まれます。この成分は女性ホルモンエストロゲンと化学構造が似ていることから、閉経後の女性ホルモンの減少により起こる更年期の不調や骨粗しょう症などの病気の予防としても役立ちます」

発酵食品というと、作るのに手間がかかるのではと思いがちだが、実際はいたって簡単。炊飯器に渋切りしたあずきと水をセットし、炊き上げたら麹を入れて、8〜12時間、そのまま発酵させるだけ。



(出典 news.nicovideo.jp)