長寿地域で共通してよく食べられている野菜がある。十文字学園女子大学客員教授の辨野義己さんは「約2万人のうち100歳を超える高齢者が50人いる徳之島では、食生活の中心にサツマイモがある。サツマイモには食物繊維が多く含まれており、これが腸内環境の改善に効果を発揮していると考えられる」という――。(第1回/全2回)

※本稿は、辨野義己『長寿菌まで育てる最高の腸活』(宝島社)の一部を再編集したものです。

■大豆に含まれる「イソフラボン」が乳がんの発症を抑制する

日本ではいろいろな種類の豆が食べられていますが、いちばんメジャーなのは大豆でしょう。大豆は、豆そのものを食べるだけでなく、豆腐、味噌、醤油、納豆など、さまざまに加工されます。私が大好きな、ビールのお供である枝豆も大豆です。

大豆に含まれる「イソフラボン」という成分は、腸内細菌が持つβグルコシダーゼという酵素で分解され、アグリコンという化学物質を生みだします。このアグリコンが乳がんの発生を促進する女性ホルモンエストロゲン」に対して拮抗的(きっこうてき)に作用し、乳がんの発症を抑制するという報告もされています。

その他、イソフラボンには抗酸化作用、腸内の悪玉菌を抑制して善玉菌を増やす実験結果も明らかになっています。「大豆を食べ過ぎると乳がんになる」と反対のことを言っていた時代もありますが、今ではむしろ女性に積極的に食べてほしい食材と言えます。

■おからには葉野菜と比べて2倍の食物繊維が含まれている

野菜を食べたくてもなかなかたくさん食べられない、そんな人におすすめしたいのが「おから」です。おからは豆腐を作るときに出た、いわば副産物。豆腐の原料である大豆には、不溶性食物繊維が豊富に含まれます。不溶性なので水には溶けないため、豆腐を作る過程で豆乳をこしたあとにカスが残ります。そのカスがおからです。

言ってみれば、おからは大豆の食物繊維の塊。おからに含まれる食物繊維は50グラムあたりで約5グラム。これは食物繊維が豊富なイメージの葉野菜の倍の量に相当し、ゆでた大豆や納豆よりもはるかに多いのです。

最近は、コンビニお弁当屋さんのお惣菜コーナーでも、おからを甘辛く煮た「卯の花」など、おからを使ったお惣菜をよく見かけます。食物繊維が足りていないと思ったら、おからのおかずを一品加えるだけで一気に目標摂取量に近づけますよ。

■大豆は「高食物繊維・適タンパク質・低脂肪」の食品

大豆をおすすめしたい理由は他にもあります。がん抑制に役立つ「ポリアミン」という物質があります。

このポリアミンはがん患者の尿から検出されることが多いため、がんを促進する物質だと考えられていました。しかし、機能がわかるにつれて、むしろその逆であることが判明しました。実は、ポリアミンは、がん細胞のアポトーシス(自滅)を誘導するのです。しかも、このポリアミンは腸の粘膜の保護にも役立ち、腸を若々しく保ちます。ポリアミンを増やすことで、がんにも強い、健康な大腸を手に入れることができるというわけです。

どうしたら、このポリアミンを体内で増やすことができるのでしょうか。そこで重要な物質として浮かび上がったのが、アミノ酸の一種である「アルギニン」です。

アルギニンをとると、腸内細菌によって体内でポリアミンに作り変えられます。いわばポリアミンの材料となる物質なのです。アルギニンはアミノ酸の一種なので、肉や魚、大豆のようなタンパク質の多い食品に含まれています。ただし、肉からとろうと思うと、同時に食物繊維をしっかりとらない限り腸内環境を荒らすリスクもあります。そこで最初に選ぶべきは「高食物繊維・適タンパク質・低脂肪」食品である大豆です。

私たちの研究チームが行った実験では、ビフィズス菌の一種とアルギニンを組み合わせて投与したマウスは寿命が延びました。しかも、人間の70歳くらいにあたる月齢での学習力や記憶力も優位に高くなることがわかったのです。

まりこれは、ボケずに長生きをする効果が出たと言ってもいいでしょう。腸と脳の健康のためにもアルギニンを含む大豆は積極的にとるべきです。ちなみにアルギニンはサプリメントとしても市販されています。気になる方は、インターネットで検索してみましょう。

■長寿地域の徳之島で食べられているさつまいも

徳之島は人口約2万2000人のうち、100歳を超える高齢者が50人もいるという長寿の島です。徳之島の人たちがこれほど健康長寿でいられる理由は独特の食生活。この島の食生活の中心はさつまいも(紅いも)です。

その他の長寿地域でも食物繊維の多いさつまいもを食べているという地域はとても多いのです。文教大学教授の笠岡誠一先生との共同研究では、便秘に悩む女子大生に1日300グラムのさつまいもを1週間、続いて100グラムのさつまいもを3週間にわたって食べてもらい、腸内細菌の変化を見ました。

すると半数の学生でビフィズス菌が明らかに増加していました。また、私たちのチームの研究で「さつまいもを食べたら腸内の長寿菌が増える」という論文を発表したことがあります。さつまいもは、加熱すると食物繊維が増えるという特性を持っており、蒸したさつまいも食物繊維の量は、100グラム中に3.8グラム。これは腸によいといわれている、こんにゃくや大和いも、里いもなどのいも類の中でもダントツです。

理研にいたころは、自宅から持参した蒸しさつまいもをさいの目に切り、ヨーグルトと和えて食べていました。さつまいも食物繊維を多く含むだけでなく、ヨーグルトに欠けているビタミン類、カリウムナトリウムの抑制作用もあるので、高血圧の予防にも役立ちます。

■ヨーグルトとさつまいもの組み合わせが腸内環境に効果的

以前、あるテレビ番組で「ヨーグルトだけ食べた人」と「ヨーグルトさつまいもを食べた人」の大便を比較したことがありますが、後者のほうが大便の量が多く、ビフィズス菌も多いという結果が出ました。蒸しさつまいも電子レンジで簡単に作れます。

さつまいもは洗って皮付きのまま、厚さ1センチ程度に切る②それを平皿に乗せ、水で濡らしたキッチンペーパーで覆いラップをかける③電子レンジ500ワット)で3~4分間程度、加熱したら出来上がりひとくちぐらいに切り分けて、私のようにヨーグルトに混ぜたり、お粥(かゆ)やごはんに混ぜたり、サラダに混ぜるなど、使い方はあなた次第です。

さつまいもには食物繊維以外にも腸によい成分が含まれています。生のさつまいもを切ると、ややネバネバとした白い液体が包丁についたり、染み出てくるのを見たことはないでしょうか。これは「ヤラピン」と呼ばれる物質で、便通を促す作用があり、食品ではさつまいもにしか含まれていません。

ヤラピンは加熱すると目には見えなくなりますが、成分は失われず効果も残ります。そのうえ、さつまいもビタミンCは、デンプンによって守られているため、熱にも強く、壊れにくいのが特徴です。

その含有量はりんごの5倍! ただでさえ食物繊維が多いのに便通を促すヤラピンパワービタミンCで、腸美人間違いなしです。まさにさつまいもは女性の味方のうれしい食材であり、理想的な腸内環境改善食品とも言えるでしょう。



(出典 news.nicovideo.jp)